設立趣旨書

1.経緯

中国フォーラムの発足

 「特定非営利活動法人中国論壇」の母体、コンピュータネットワーク上の日中民間交流を行う非営利、非政治、非宗教の任意団体「中国フォーラム」(中国語名:中国論壇、英語名:China Forum 、略称CF、以下略称にて表記)は、中国語ワープロソフトメーカーである株式会社クリエイト大阪の後援の元、平成6年11月1日、在日本中国人李擴建(こにし拡建)等と日本人の有志が、相互交流を図る任意の非営利団体として自主的に組織し、パソコン通信サービスニフティの中、「中国フォーラム」(アクセスコマンド:GO CHINA)というプライベート・フォーラムを開設、ここを活動拠点として発足した。

 発足当時のCFの目的は、在日中国人のため情報提供・情報交換の場を、また、日本人で中国に関心を寄せる多くの人々相互の、或いは日本人と中国人の間での交流の広場を提供すると共に、その場に集った志や目的を共にする人の間で新たな社会的活動が始まる可能性を探る事にあった。

 CFの運営は、アメリカ合衆国においてあるボランティア団体の活動を参考に、有志の協力により自主的に今日まで行われてきている。財政的には株式会社クリエイト大阪をはじめとする、パソコンの中国語環境の創造と日中交流に心を寄せる民間企業の理解・支援によった。

 また李擴建は、ネットワーク社会の到来を念頭に置いた 「コンピュータネットワークの活用による民間交流の促進」にあり、 当時漸く緒についたパソコン通信サービスを利用してその実現をはかったと同時に、 インターネット上では、 中国語オンライン雑誌「華声和語」などを無料でインターネットユーザに配布し続けてきたボランティア団体であるCOM(China Online Magazines)編集部を有志と発起した。

活動の展開:パソコン通信上の活動

 発足当初のCFは、依存していたニフティのプライベート・サービスの性質上、小規模なものであった。何故ならプライベート・サービスはニフティがその存在を宣伝する事はなく、このサービスのアクセスコマンド「GO CHINA」を知る人のみがアクセスする事が出来るというものであったためである。

 しかしながら、CF発足当初よりシスオペ(フォーラムの運営責任者)をはじめとして運営スタッフ、更にはCF会員有志が、マスコミから口コミに至る多様な手段によってCFの宣伝に努めた結果、次第に会員の増加を見ることとなった。

 CFが大きく成長した理由の一つは、香港唯一の日本語商用BBS(パソコン通信を利用した電子掲示板システム)であったDragon Serve(ドラゴンサーブ、以下ドラサブ)との提携である。ドラサブは平成6年9月に試験的に運用を開始し、CF設立とほぼ時を同じくして翌10月から正式に運用を開始していた。折しもCF内に返還を目前に控えて関心が集中しつつあった香港についての情報を求める声が高まっており、ドラサブの理解を得て、CF会員でもあるドラサブ有志が双方の情報を転送するという骨の折れる仕事を全て純ボランティア、自発的な無償奉仕で行う事により、両者の提携が実現し、CF内の活動が一層活発となった。

 更に、ニフティ内で国際情報の交換の場であった別の公開フォーラム「インターナショナルフォーラム」(アクセスコマンド:GO FINT)が平成7年4月に廃止された際、その中に設置されていた香港関係の会議室「香港パラダイス」参加者の多くがCFに参加するようになり、それまでのカラーを残しつつCFで活発に活動を行うようになった。

 ドラサブとの提携、香港パラダイスの事実上の「移籍」、後述の水害救援活動支援のための義捐活動の展開とにより、ニフティ上のCFの活動内容はより多彩に、より豊かになり、電子会議室への発言数が急速に増え、新たにさまざまな活動の可能性を見出す事が出来るまでになった。

 平成9年8月、株式会社中研をはじめとする後援各社の支援の下、 ニフティ内のCFは、非公開のプライベート・サービスから公開サービス 「チャイナ・ステーション」(中国語名:中華時空、アクセスコマンド:GO SCHINA) のホームである「中国論壇」(アクセスコマンド:GO CF)に移行した。 公開によってニフティ内でCFが公の存在となり、一般のニフティの会 員の目に触れやすくなるとともに、会員の増加やより豊かな交流に結び ついた。

 このようにして、現在ニフティ内のCFは1万人を越える会員を擁し、 日々活発な情報交換・交流活動をニフティ内の電子社会のみならず、 実際の社会生活においても実現している。

活動の展開:インターネット社会

 インターネット上の私たちの活動は、 有志によるインターネット上のドメイン名の獲得に始まった。 平成8年4月1日にはCFと提携関係にあったCOM編集部のインターネットサーバーを借りてホームページを開設した (http://come.or.jp/cf/)。 これを期に、CFの活動は特定企業の提供するサービスに大きく依存してきた従来の枠を越え、 独自に全国・全世界との交流・情報交換の手段を持つことができるようになった。

 その後、平成9年1月より、株式会社ネオナジーの協力により、 アメリカで本格的なホームページを運用するようになり(http://cf.net)、 更に平成8年5月からは日本国内に独自のサーバー(http://forum.china.or.jp/)を設置し、 COM編集部をはじめ香港、天津までの複数のミラーサーバーにもホームページを立ち上げた。 その間、会員の善意の協力の下、中国系アイドルの紹介ページや留学情報提供のページなど、 数々の人気コンテンツを作り込み、 アメリカのサーバーだけでも日々のアクセス数が平均2万件を越える実績をうち立てて現在に至っている。

 また、このサーバーにはメーリングリストサービス機能(電子メールの自動配布により、コミュニケーションを提供する機能)も持たせ、200以上のメーリングリストを擁するまでになっている。

2.趣旨

CFが実現してきたもの

 CFが持つコンピュータネットワークの市民活動への活用という側面は、まさに20世紀末を出発点としてこれから大きく花開こうとしている世界的な流れの一つである。CFは日本や中国など世界各地に在って「中国」に関心を寄せる人々に、情報の交換と交流の場を提供する一つの重要な拠点となっている。以下、CFという場を通して、これまで実現してきた事柄を列挙する。

 まず挙げられるのは「中国(大陸・台湾・香港・澳門・各国の華僑社会)」に関する情報提供・情報交換である。これから中国文化圏に赴任しようとする者、旅行しようとする者がCFにアクセスすれば、現地についての情報や、現地からの通信の方法などの情報を得ることができる。また、コンピュータネットワークを使える環境にある在日中国人は、CFが提供する会議室やメーリングリスト・ホームページなどのインターネットサービスを通じて、日本や中国の情報を得たり、中国人同士での交流をもつことも可能である。増加しつつある中国・日本留学予備軍や国際結婚をひかえた者が、その手続きの方法についてアドヴァイスを得る事も可能である。また、中国語(普通語、広東語、その他)の語学や翻訳・通訳技術の習得にあってもさまざまな便宜を得る事も可能である。一方的に情報を受けるだけでなく、電子会議室において会員自身が情報を提供しあう習慣があるということもCFが育んできた大切な伝統の一つである。

 また、中国での災害に対する罹災者支援活動も、CFがなし得た大きな成果の一つであり、私たちの成長のためにも欠かせないものであった。平成7年8月、中国東北部遼寧省を中心に発生した洪水は、史上まれにみる大規模な天災であった。洪水発生直後、現地に居住していたCFの一会員から、罹災区域の被害の実情が逐一CF内で報告され、これを読んだ会員有志から、CFとして義捐金を募り、現地の罹災者を救援してはとの提案があがった。そこでCFは、義捐金呼びかけと情報提供、意見交換、そして現状報告の場としてプライベートフォーラム内の会議室一室をあて、あわせて会員有志を発起人として、日本語・英語・中国語の趣意書を作成し、CF内のみならず、ひろく内外の人々に対し、コンピュータネットワークを通じて支援を呼びかけた。趣意書の作成、翻訳等からはじまり、事務処理、パンフレットの配布などはすべて自発的なボランティアによって遂行された。その結果、日本円にして40万円以上の義捐金を集め、在日本中国大使館を通じて遼寧省義捐委員会にその篤志を送金する事が出来た。同委員会からは、同年秋、CFに対して感謝状が贈呈され、私たちは未経験であった災害支援活動分野で、多少なりとも罹災者の為に確実に支援をなし得た事に、安堵した。以後、CFでは、災害支援活動も重要な活動の一つと位置づけ、中国でしばしば起こる天災、人災について関心を払い、こんにちまで必要とあれば義捐活動の紹介、更には有志による義捐活動の組織などが自発的に行われ、パソコン通信とインターネットを積極的に利用して、これに関わる情報収集・発信を心がけてきている。

 また、この災害支援活動を通じ、私たちの活動が中国国内で認知されるようになっただけでなく、それまでの中国国内のインターネットに対する認識、即ち有害な情報ばかりがあふれているのではないかという思いこみがあらためられるきっかけの一つとなったことを大いに誇りに思う。

 更には、これらの情報・意見交換と相互交流・支援活動、コンピュータネットワーク内のみならず、相互に直接会する会合(オフライン・ミーティング、略して「オフ」と呼ぶ)を通じて知り合った者のなかには、社会活動や家庭など、さまざまな方面でよき伴侶を得た者も少なくない。

 以上のような成果を得る課程で、運営陣・会員は、市民社会の構成要素の基本である自立した市民としての役割を意識する・しないに関わらず果たしてきた。これは、自主参加という運営の原則、支援活動の範とした阪神・淡路大震災における在日中国人らの自主支援活動、電子会議室の参加者という平等な資格を通じて得られたものである。

 ネット社会の参加者は、必ずしも特定の目的を日常的に意識しながらネット社会での活動をしている者ばかりではない。しかし、困った事があり、知りたい事があり、解らない事があり、そして第三者にそのメッセージを発信したいと願ったとき、それが出来る場があれば、それらの問題の解決や理解の可能性が大いに増すであろう。また、そのような問いに答える場を提供することは、提供者の大いなる喜びにつながることを私たち自身が学んできた。私たちの活動は、このようなより心豊かな社会を目指す人々に答えるため、交流の場の提供を基本としており、この面でのノウハウ・知見の蓄積は少なくない。

特定非営利活動法人としてのCFの意義

 以上見てきたように、「中国」というキーワードを縁として集う者のために、日常的な交流の場を確保し続けることは大きな意義があると私たちは確信している。CFに携わる私たちは、このようなの経緯の中で、意識するしないにかかわらず、さまざまな知識・経験を蓄積してきた。4年5ヶ月の間に蓄積された膨大な過去の発言の記録もまた、大きな財産である。そして政治的な枠組みや国籍・人種にとらわれず、集い、交流するなかで、文字によるコミュニケーションを起点として現実のコミュニケーションや個々人の社会生活のあれこれに活用させてきた。CFが今後どのような場面で誰にどのような貢献を成し得るかは、未知数である。しかし、個々のコミュニケーションの積み重ねが、参加者一人一人、日本や中国の社会、日中間、世界、地球のさまざまな問題の解決にも資することがあると考える。CFの自主平等の基本原則は、発足当初より一貫して変わるところはない。私たちは、CF運営を行ってきた上でのさまざまなノウハウや知識、経験、情報の蓄積により、この間の社会における情報化とネットワーク化の進展とともに実績を築き上げてきた。将来的にも、私たちの活動内容や特徴が、更なる交流と貢献の可能性を高めると自負している。

 このように、CFの諸活動は、会員個々人の自発的参加によって成り立ってきた。このような特性に合致する「特定非営利活動法人」という新たな枠組みの中で、私たちはこれまでの基本的な価値観や方針、システムを大きく変えることなく、しかも新たな貢献の可能性を求め、新たな同好の士を求めて、ここに再発足することとしたい。

 以上のような趣旨から、私たちは 日中共同声明日中平和友好条約日中共同宣言など、 この間、日本国と中華人民共和国の両政府が結んだ日中関係の基本的 な認識を遵守し、 日中の交流の場を提供し続けることを主たる目的とし、この度特定非営利活動法人の設立を決意した。

 今後は、これまでおこなってきた「中国」に関わる情報交換・交流の場を提供する事業、災害支援事業に加え、自主平等という私たちの伝統に則って、日中の人々の人権擁護事業や同様の主旨を持つ団体同士の交流促進事業などを行うことにしたい。

3.申請に至るまでの経過

 
  • 平成 6年11月  任意の非営利団体「中国論壇」の活動を開始。  
  • 平成10年 3月  特定非営利活動促進法の成立を期に、法人格を取得するための準備活動を開始。  
  • 平成11年 4月  設立総会を開き、「特定非営利活動法人中国論壇」の設立認証を申請することを満場一致で決議。

    平成11年4月15日

     

    特定非営利活動法人中国論壇

    設立代表者  住所 埼玉県大宮市盆栽町484番地の4 303

    氏名  李   擴  建   印